サンフランシスコ行きの飛行機の中で「ブレードランナー2049」を観た。
「我々はどこから来たか」という人間存在を問うSFだが、「どこから」を探るストーリーを展開しながらも「我々は何者か」に帰結するのが面白い。それはつまり「本当の主人公は誰か」を巡る問題で、作中の台詞「私たちの主人は私たち自身よ」という個人主義の思想をもう一つ超えて探求し続ける捜査官の探偵物語である。
オリジナルのブレードランナーを観たのは確か高校生のときで、原作の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」を読んだのは大学1年生のとき、もう15年前になることに今更のように驚くが、実は内容を全く覚えていない。
果たして原作も「我々は何者か」を探る捜査官の物語だったか、帰国したら電気羊を読み返したい。
D’où venons-nous ?
Que sommes-nous ?
Où allons-nous ?
我々はどこから来たのか
我々は何者か
我々はどこへ行くのか
これはゴーギャンが描いた絵画のタイトルでもあるが、作中後半でハリソン・フォードが交わしていた会話が興味深い。
「我々はどこへ行くんだ?」
「故郷よ」
なるほど、我々は故郷から遠く離れた場所に来ているようで、その実、故郷へ向かって旅しているのかもしれない。
(代表 杉本)